晴れた日は日和下駄履き街歩き

思いつくまま、気の向くまま。

自己紹介です

  ご挨拶がわりにもう1本。今まで楽天でブログをやっていましたが、商業主義が強くてあまりに「五月蠅い」ので乗り換えました。

 家庭の事情もあって昨年で仕事を辞め、悠遊自適といえばカッコよいのですが、まあ毎日時間を持て余しています。何もしないと不味いので今、やっていることがあります。

 第一は、審美眼を鍛えること。刀剣や陶器などを見て楽しんでいます。第二は、この4月から国学院大で神道を学んでいます(オープンカレッジですが)。私見では日本の神道天皇家武家、氏族などが国家・体制を維持するための道具として体系が作られてみました。根っ子には庶民の素朴な信仰があったはずなのに、その辺の研究はなおざりにされたままです。かといって小生ができることなど何もないのですが、まあぼちぼちやっていきます。

 第三は船橋とその周辺の川を歩き記録というか感想録を残したい。市川で生涯を閉じた永井荷風氏に「葛飾土産」という随筆があります。市川を流れる真間川が東京湾に流れ落ちるまでを足で歩いて記録に残したものですが、多少影響されているかもしれません。もちろん荷風のように下駄を履いてステッキをついて、というわけにはいきません。それに代えて小生は地図と方位計、高度計をもって歩きます。川筋を歩くと必ずといっていいほど丘があり、寺社があり、中世のがあります。これらを巡って往時を空想することもまた楽しみです。まあそうはいっても荷風のような筆力は永久に無理ですが。

 ああもう一つやることがありました。小生は前職の関係からここ20年ほど経済雑誌に小売り動向などの流通エッセーを書いています。また趣味的にもスーパーマーケットやショッピングセンターなどを見て歩くのが好きなので取材かたがたそんなことをやっていきたいと思います。

 こう書いてくると結構やることは多くありますね。以上、自己紹介を兼ねて近況を書かせていただきました。よろしくお付き合いください。

 

 

 以下は小生が担当する流通コラムの抜粋です。

 

  情報が溢れきり、擦れきっている現代の消費社会にあっては、企業やブランドもあっという間に使い捨てにされてしまう。だから供給側は、常に買い手を驚かせ、感動させ、共感させていかなければならない。言うは易く行うのは難しなのであるが・・。今回は、巧拙2例を取り上げる。

 

 営業路線の転機にある大塚家具

 

 1990年代に成長した家具売りの大塚家具が揺れている。会長である創業者と現社長の対立がこじれ、黒白は株主総会でつけようということになり、結局は番狂わせで社長側が勝利した。週刊誌ではお家騒動、親娘喧嘩などと面白おかしく三面記事的に報道するところもあるがこれは流通問題である。大塚家具のビジネスモデルが転機にあるのだ。事実、同社の全店売上は2014年5月以降この2月まで10か月連続で前年比を下回った。この間、新店舗を1店増やしているのだから言い訳は通用しない。大塚家具は元三越(現在は三越伊勢丹ホールディング)の家具売り場を受託し実績をつくったのが成功のきっかけだった。その後、独自出店するようになったが営業のやり方は変化していない。出迎えから帰るまで客のそばを離れない密着商法である。よく言えば徹底したコンサルティング販売とは言えるが、百貨店のテナント時代と基本は同じである。実際にこのやり方でデフレ下も業績を挙げてきたのだから創業者の自信は揺るぎがない。反面、煩がられる。時代は変わっても過信する本人はそれに気がつくことはない。もっと客が気軽に店内を見て回れるように売り方を変えよがう。これが現社長の考えである。どちらも正解という気がするが・・。やはり流通業には寿命があるのか、一度作り上げた商法が永久に続けることはできない。ヤマダ電機マクドナルド、大型スーパーなどかつて市場を席巻した会社がいずれも成長の壁にぶつかっている。

 

 

 

 

 

 常に驚きを与えるユニクロのモノづくり

 

 ユニクロの好調ぶりが止まらない。2015年8月期の2月度までをみても既存店売上は8%超の増加である。客数は僅かに減っているが客単価の伸びが大きい。当たり外れの大きいアパレル小売りを考えると素直に評価できる数字である。うまくいっている要因を考えよう。まず思い起こすのが積極的な広告だ。週末の新聞には必ずと言っていいほど勧誘チラシが入る。そして割引商品を掲載し来店を促す。もっとも販促だけではひねた現代の消費者がモノを買うことはない。やはりユニクロのいいところは商品づくり面にあるといえる。例えば同社では最近、「セルビッジ・ジーンズ」を発売した。これはシャトル織機という旧式の織機で織られたデニムでつくられたジーンズでデザイン面や適度に色落ちする点でマニア向けに人気が高い。また別の例では、貴族出身で国際的なトップモデルとなり、その後デザイナーへ転身し特に女性に人気の高いイネス・ド・ラ・フテサンジュとのコラボファッションも提供している。情報過多のなかで消費者は忘れっぽくなり、ときには無感覚に至る。小売業としても消費者に驚きや感動を与え続けなければならない。その点でユニクロは成功している。