mrhiyorigeta’s blog

思いつくままを気の向いた時に、散歩をするような日記です。

 小生の執筆する流通エッセイの6月分記事です。もはや掲載分の本誌は公開済みなので以下にコンテンツを掲載します。

 

発展途上のネット通販

 

 仮に大人向けの精巧な特定のミニカーを欲しいとする。欲しがる人は多くないから実店舗は少ない。当然ながら探索コストは大きくなる。その点でネット通販は利便性が高い。たとえレアアイテムであってもロングテールだから見つける難易度は低い。つまり探索コストは低い。しかし実際に見て手に取りリアルな実感を得ることは難しい。したがって最終的には不安を抱えながらエイヤーと購入を決断せざるを得ない。つまりWinning-hit(決定打)を持ち得ないことがネットの最大の弱点である。この難点をクリアーするために多くの試みがある。例えば返品ができるロコンドの通販システムが急成長している。TSIホールディング傘下のアルページュは東京・新宿に「アルページュ・ストーリー」を開設した。同社の通販サイトを実店舗化した新業態店である。実店舗化は百貨店の松屋も挑戦する。ウェブサービス会社tabが展開するECサイト「tabモール」で扱う全商品を店頭に取り置いている。消費者は試着して気に入れば買って帰ることができる。もっとも上に挙げた事例いずれも試行錯誤の段階であり決め打となり得ていないのが現状である。消費者満足と事業者の採算が両立する仕組みはまだできていない。

 

パンに比べて工夫のないコメ

 

 大丸京都店の食品売り場改装のニュースが興味深い。目玉はパンの強化だ。地元で人気の店など5店を集めたそうだ。今ではどこのスーパーに行っても焼き立てパンのコーナーがあるが、一挙5店舗設置というのは百貨店でも珍しい。実際パンの需要は年々高まっている。家計調査を見ると今ではパンへの支出額がコメのそれを上回る。とくに菓子パンや総菜パンに比べバゲットのような食事パンの人気が高まっているらしい。パンの魅力は何だろうか。まず手軽さだ。買ってすぐ食べることができる。また多様な香りや味が楽しめることも魅力だ、食事用からデザート替わりと選択の幅が広いのである。さらにどこか心に豊かさを感じさせる食品でもある、だから女性に人気があるのだろう。焼き立ての新鮮感も一要素だろう。以上に挙げたような要素は残念だがコメでは得られ難い。もっとも期待候補は日本にもある、国民食のおにぎりだ。手軽に食べられるところが利点でコンビニでも主力商品となっている。しかし多様性やリッチな感覚という点ではパンに負ける。まず見た目に工夫がない。三角、丸、俵型以外には選択肢がない。実際に食べるまで中の具が不明というところも難点である。固定観念からの脱却が必要だ。ホットドッグ型おにぎりなどがあってもよい。

 

中小ネット通販業者向けの物流を受託する

 

 倉庫業などがネット通販業向けに物流センターを設け物流業務を受託するケースが増えている。ネット通販業は消費者からの受注のみに専念し、後方作業となる在庫・保管・出荷などは倉庫業者が行うこととなる。ただこれらのサービスを利用できるのは現在のところ大手のネット通販だけである。総じて月間売上が1千万円に満たないような中小規模の業者においては内部で負担の大きい物流業務をこなしているのが現状である。「オープンロジ」はこの構造問題に着眼して昨年に事業を始めた物流ベンチャーである。同社のサービスの特長は次の通りである。商品の入庫から保管、梱包、配送までを一括で受託することは他の倉庫業者と同じだが、既存のサービスが保管場所の単位面積当たりで課金するのに対し、同社では荷物ごとの従量課金制だ。申し込みから利用までのプロセスも簡略化して、「2分で利用可能」をうたい文句とする。料金も業界最低水準としている。確かに業界型破りのサービス内容であるだけに果たして採算を確保できるのか疑念も残る。他の業者が同社のような戦略を採らないのにはそれなりの理由があるからだろう。もっとも通販物流においてベンチャーが出現した意味は大きい。

 

再び強まる総合商社の川下進出

 

 商社が小売業への関与を再び強めている。商社主導による流通再々編の動きが始まるかもしれない。火を付ける形となったのが2014年末に発表された国分と丸紅の包括提携だ。独立系の食品卸大手でプライドの高い国分、流通の外野手とまで揶揄され流通への関心が薄いと見られていた丸紅という組み合わせである。アナウンス効果は大きく、すかさず伊藤忠商事が動き、出資するファミリーマートとユニーグループの経営統合に向けた協議入り開始と報じられた。食品卸業界は2011年頃から再編が一気に進んだ。三菱商事が傘下の食品卸子会社4社を統合し三菱食品を設立した。伊藤忠商事も子会社の日本アクセスを軸に傘下の食品卸を統合した。冒頭に述べた商社同士の流通覇権争いの幕開けという見方には根拠がある。まずは稼ぎ頭の先細り化である。原油価格の下落に見られるように新興国の経済成長が勢いを失い、商社が得意とする資源ビジネスが不透明感を漂わせているのだ。また流通セクターの生産性が欧米に比べ低いことも指摘できる。商材の吟味、施設の大規模化・省人化など商社のシステム化力をフル動員して効率を改善すれば利益稼得に繋がると見ているのだ。商社から見れば流通業界は宝の山に映るらしい。