晴れた日は日和下駄履き街歩き

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龍神社(千葉県船橋市海神町)

龍神社(千葉県船橋市神町

本殿の彫り物がすばらしい。流造の平入り部正面(南面)を除いた三面に精密でシャープな彫刻が隙間なく施されている。明治中期の作らしいが、古さを感じさせない。というよりたった今、刻印されたような明確さをもつ。氏子や地域の人々から大事に守られてきたのだろう。使われたケヤキの品質も高かったのだろうと思う。

本殿を覆う屋根を設え、金網で守っているためすぐそばまで近寄ることができない。離れた位置から双眼鏡で覗くため何が描かれているかは不明分である。ただ祭神に関連したものではないようだ。龍神社といいだけに祭神は水である。具体的にはオオワタツミである。

さて彫り物を観察しよう。左回りでまず東面、烏帽子を被った武士らしい人物が左手に軍配を持ち立っている。その左側に一人の女が男に何かを捧げ渡そうとしている。立場は男の方が上のようだ。次は北側だ。真ん中に大きな壺がある。後ろから男が顔と両手を見せている。登ろうとするのか、壺の蓋をあけようとするのか。周りの人物がけしかけているようにみえる。最後に西側に回る。四人の男がいる。一人が一段、高いところにいる。他の三人がその人物を崇め仰いでいるようにみえる。

こうした造形は、およそ龍神を恐れ、崇めている光景とは思えない。では何を描いているのか、と問われても答えはないのだが、何かの物語を描いているのだろう。ぜひ知りたいものだ。



ここで神社の性格についてふれておく。今では面影が全くないが、昔、神社の裏側を川が流れていてそれが東京湾に流れ落ちていた。その川の流れを龍神になぞらえたというのである。

最後に神社建築の様式についてふれておく。鳥居は東に向いているが、元々は南面し海に向いていたのだろう。鳥居はコンクリート製の靖国型、注連縄はなんという形式なのかロープのような形式、紙垂の形はは吉田流である。出水舎はなく、清掃もあまりされていないようだ。本殿は総ケヤキ製の流造である。

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