晴れた日は日和下駄履き街歩き

思いつくまま、気の向くまま。

9月16日(18)

曇。大陸・太平洋高気圧の押しくら饅頭。24.5-27℃。

 

○Touch

◆うつそみと 思ひし時 携はり わが二人見し 出で立ちの 百枝槻の木 こちごちに 枝させるごと 春の葉の 茂きがごと 思へりし 妹にはあれど 頼めりし 妹にはあれど 世の中を 背きし得ねば 陽炎の燃ゆる荒野に 白たへの 天領巾隠り 島じもの 朝立ちい行きて入日なす 隠りにしかば 吾妹子が 形見に置ける 緑子の 乞ひ泣くごとに 取り委する 物しなければ 男じもの わきばさみ持ち 吾妹子と 二人わが宿し 枕づく つま屋の内に 昼はうら寂び暮し 夜は息つき明かし 嘆けども せむすべ知らに 恋ふれども あふよしを無み 大鳥の 羽易の山に 汝が恋ふる 妹はいますと 人の言へば 岩根削くみて なづみ来し 好けくもぞ無き うつそみと 思ひし妹が 灰にてませば(万213)。

*柿本人麻呂が妻を亡くした時の歌。悲しみが痛切に伝わる。宮廷歌人としての仕事歌ではなく、彼の心底を直に述べている。