晴れた日は日和下駄履き街歩き

思いつくまま、気の向くまま。

9月29日(18)

晴、630曇。22.3- 23℃。台風24号が列島縦断の勢い。

○Touch

筑波嶺を 外のみ見つつ ありかねて 雪消の道を なづみ来るかも(万383)

@あの神の山を、今までは憧れて見ていただけだったが、雪が溶けたら歩いて行くのかなぁ。

*多治比国人の作。聖武天皇の時代は橘諸兄奈良麻呂父子が政治の実権を握っていた。聖武の死後、光明皇后はこれを良しとせず、甥の藤原仲麻呂を重用する。実権を削がれた諸兄の子、橘奈良麻呂はこれを不満としクーデターを起こすが失敗する。歌の作者の国人は橘政権下で出世した人だが、政権転覆に加担した罪で伊豆へ流刑となる。この歌は一見、叙情を詠んだものに見えるが真意は異なる。流刑になる前、彼は遠江国の長官であった。日々、彼方に雄峰富士の姿を見ていたことだろう。筑波嶺は富士山のことだ。今までは遠くから眺めていたが、これからは近くで毎日見ざるを得ない、つまり事破れての絶望を吐露したものだ。

◆冬ながら 空より花の ちりくるは 雲のあなたは 春にやあるらむ(古今330)。

*清原深養父。遊興歌だが、冗談めいた軽いノリ。感傷に沈殿しないのがいい。